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リセットを意識して日常を暮らすスウェーデンの人々


あなたがリセットしたい時はどんな時ですか?暮らしのトラブルでモヤモヤすることがあって気持ちを切り替えたい時、仕事で上手く行かなくてスイッチを入れ直したい時、場面はそれぞれあると思います。私も働きながら日々家事育児をしていると不意に「あぁ、南の島に行ってリセットしたい」と思ってしまうことがあります。

しかし私の場合はフラストレーションが溜まってようやく自分の現状に手を打つかのようにリセットするというよりは溜めて爆発する方法なのかも知れません。

しかしスウェーデンでの暮らし等をいくつか視察して彼らは、子育て世代でも、シニア世代でも、オフィスシーンでも日常をリセットすることを意識して行っているのだなあと感心しました。

平日はストックフォルム中心地で大学職員をしながらプライベートでは子育てに奮闘するNさんのご自宅を訪問した時、玄関に招き入れて頂き真っ先に目についたのが、バルト海を目下に眺める気持ちのよいバルコニーでした。

思わず声を上げて駆け寄る私たちに彼女は「いいでしょう、この景色。この景色に惚れ込んでこの物件に決めたの」と目を細めながら教えてくれました。

彼女の言う通り、バルコニー先の緑豊かな木々をたどって視線を向けるとバルト海が見渡せ、つい引き込まれそうになります。「あぁ日本に帰りたくない…」ついつぶやいていつまでもここに居たいと思うほど印象的な場所でした。

彼女曰く週末はここでキャンドルを灯してワインをゆっくりパートナーと楽しむのだそう。バルコニーの方壁面いっぱいにキャンドルホルダーがデコレーションされていてきっと幻想的な雰囲気がより一層リラックスした空間を演出し、そこには時間の概念なんて存在しないのかも知れません。ひたすら今と言う時間を楽しむことに集中するのでしょうか。

また平日でもバルト海を船で渡って仕事に向かう日もあると教えてくれました。「気分がいいのよ。いい気分転換になるのよ」と彼女は言いながらその船着き場まで案内をしてくれました。

確かに地下鉄を利用して職場に向かう方が時間効率の良い交通手段かも知れないが、時間はかかるけれど気分を変えたい時、ちょっと集中したい時などいつもと違う船通勤は自分を満たす有効な時間の使い方ではないのでしょうか。結局いつものように地下鉄通勤するより、もしかして気分転換ができたことで最高のパフォーマンスを生むのではないのだろうか?と私も同じように船に揺られストックフォルム中心街へ向かいながら考えていました。

急がば回れではないですが、スウェーデン人はやっぱり私たち日本人と比べてこのリセットすることが上手だなあと日常を伺えば伺う程、思いは強くなりました。

暮らしの中で「リセットする」ことは旅行のような比較的大きなタームのリセットの場合と、ふとした瞬間思わず“はぁ~”と出るため息は小さなリセットになると思うのですが、この大小のバランスも絶妙で真似できるのではと思いました。

スウェーデンに派FIKA(フィーカ)という言葉があります。最近の北欧ブームで言葉だけは知っているなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。

FIKAとは日本語に訳すとカフェタイムになります。しかしFIKAの真意は単なるお茶を楽しむ時間だけではなく、お茶を楽しみながら人とコミュニケーションを育むことともう少し深い意味で使われています。

スウェーデンの家庭を訪問するとコーヒーとシナモンが効いた小菓子などが必ず常備されて、こんにちは!のあいさつのように「さあ、FIKAしましょう」と初対面で会っても誘われることが多いです。

FIKAするのは家庭だけでなく、街中のカフェショップはもちろん、メンバーもパパ同志、ママだけでも、おじいちゃんもおばあちゃんも学生も、森の中だってどこでも誰とでもFIKAを楽しみます。もちろん会社でも例外はなくFIKAタイムが存在します。

午前中でもFIKA、お昼を取ってしばらくしたらまたFIKA…。勤務中なのにコーヒーブレイクばかりで大丈夫?!忙しく働くことが当たり前の日本人ならばそう思っても仕方がありません。

ですが私が訪問した公の政府機関や、いわゆる区役所内のオフィスでもFIKAを楽しむコーヒーマシーンコーナー、各種フレーバーティの茶葉とつまんで口にできるフルーツや小菓子が設置されているカフェコーナーがありました。

オフィスにおけるFIKAも単なるコーヒーブレイクではなく、デスクで煮詰まった頭をコーヒー飲みながら力抜いて同僚と話すことで頭のリセットになるし、もしかして新しいアイデアが生まれるかもしれない、そして同僚とフランクに接することで円滑なコミュニケ―ションにつながるそんな大切なコミュニケーションの場なのです。

小さなリセット習慣がFIKAを通して自然な形で会社でも行われていました。そしてそれがもはやスウェーデンの文化にもなっているのです。

日々暮らしの中で一生懸命生きているとつい立ち止まることをおそれて突っ走ってしまいがちですが、フル回転ばかりでは消耗も激しいでしょう。

「自分にとってここちよい暮らしを」地で行く彼らは、どんな人に話をお伺いしても旅行のような大きなリセットだけでなく日々生活の中でも小さなリセットの積み重ねを工夫していました。

眺めの良いテラスとバルト海が身近にある暮らしから見えた暮らしの中で上手に取りいれるリセットや、働くビジネスシーンでもFIKAしてリセットを意識する働き方。

このような生活の中で意思して起こす小さなリセット習慣ならば長期休暇が難しい日本のサラリーマンでも、取り入れやすいのではないでしょうか。先ずはタスクに追われるそのPC画面を閉じてその窓の景色を見ながら10分、一人FIKAから始めてみてはいかがでしょうか。

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